■はじまりは、「高みへと挑戦する心」から。
「本人は第一志望校を桜蔭にするつもりのようです。」
6年生5月の個別面談でお父さまから聞いたときに、軽い驚きを感じました。まず、学校が定める通学時間指定内からも外れています。
「もし受かったら引っ越しますよ。ははは。親としては彼女のトップへ挑戦する気持ちを第一に考えて受験させるつもりです。」
笑顔で話す様子を見たときに、
すでにこちらの気持ちも決まっていました。
とはいえ、この時点での彼女の成績は、四谷偏差値でまだ60を超えたあたり、当初の第一志望には充分ですが桜蔭となると道のりは遠いように思えました。
■パズルを利用した思考力強化で、算数の力を徹底的に鍛える。
いかなる中学を目指すときにも受験学習のポイントは変わりません。彼女の場合、「基礎の充実」は申し分なく、指導した内容については素直な性格も作用して、ほぼ完璧に体得していましたが、「応用力の育成」については課題がのこっていました。
これは4教科にわたって言えることですが、特に算数の難問や理科の物理関係の難解な問題での正答率に顕著に表れていたのです。
しかしこの時点で難問ばかりを扱うようにするのは自信喪失につながりかねません。
幸いなことに、選択講座の「パズル算数講座」に参加しておりましたので、この講座を最大限に活用することにしました。通常よりも高いレベルの思考・応用のパズル問題にまで挑戦することにより、無理なく思考力を高める工夫をしたのです。
やるべきことは、第一に「基礎力の充実」
第二に「基礎を組み合わせる応用力の育成」です。
最初は戸惑っていた彼女もしだいに「基礎事項を組み合わせて応用するコツ」をつかみ、難解なパズルもこなせるようになりました。その結果、夏以降は高度な難問にもギブアップせずに取り組むことができるようになったのです。さらに10月時点の公開模試では、算数の最高成績(全国女子9位)をとるまでに成長しました。
■夏は社会の鬼となる。暗記力と語彙力の育成を。
理系中心で育成を進めてきた理由は、「社会は夏から、国語は秋から強化すればよい」と考えていたからです。社会の知識は、直前の冬から詰め込むケースが多いのですが、社会の暗記学習と算数の思考論理学習は相性が悪く、どちらかを強化すると一方が弱体化するケースがこれまで多く見受けられたためです。
そこで、「夏までは徹底的に算数・理科の強化をし、夏期講習からは社会の学習を強化する」と決めていたのです。
なかざわ流の社会学習は、
徹底的に汗をかいて覚える学習ですが、
必ず学力がつく学習法です。
社会については、夏期講習会で強い自信を抱いたようです。
が、薬が効きすぎたのか、もともと知識の学習に強いこともあり、社会の用語を憶える楽しさに目覚め、社会の学習を偏重した勉強するようになってしまいました。9月当初の面談時には「これで社会は安泰です」と笑顔で話していたのですが、11月個別面談時には「なんか家では社会ばかり勉強しているんですよ。」とお父さまから少し不安そうな話をいただきました。算数の成績も10月以降は低下傾向にあり、そこで12月からは算数中心の学習にもどすことにしました。
■国語は語彙力を高めて、日本語に強い生徒をめざす。
社会の強化学習では、用語や記述などの言葉を漢字で書く学習を徹底させています。これにより言葉に対する感覚が敏感になり、国語の成績も安定してきました。
集中的にある教科や単元を学習するときには、
複合的な効果を考えて学習を進めることが
大切なのです。
さらに直前での国語強化として私が考えたのが「パズル算数講座」の時間帯を活用して、国語の語彙パズルを解かせることです。パズル講座では、どんなに難しいことをやる時でも楽しく進めることを第一とし、電子辞書を片手に友達と一緒にきわめて難解な国語パズルにチャレンジしたのです。通常の読解演習に加え、言葉の一つ一つを大切にすることを学ぶことで、文章読解力全体の底上げをすることが目的です。その結果、文法を含めた言語要素などにも強くなりました。ストレスがたまる入試直前だからこそ楽しく学習を進めさせたいと考え、テーマを絞って残り1カ月の学習を落ち着いてできるようにしたのです。
そして受験に挑み・・・。
みごと目標を達成し、合格を果たしました。
■受験を終えた君へ ― 塾長なかざわから、ひと言。
君は、とてもチャレンジ精神が旺盛で、何事にも努力を惜しまないという才能に恵まれています。中学合格は君にとって通過点でしかありません。桜蔭へ進学後もこの素晴らしい才能に磨きをかけて君の希望である社会に貢献できる人になってください。君が示したくれた「受験勉強は苦痛だけでなく楽しむことができる」ということを、なかざわ塾の後輩たちは誇らしげに見ています。
指導するものとして私も誇りに思います。
[オプション選択をした講座]
・パズル算数講座
・今解き教室
・5年理科講座(Ⅰ期、Ⅲ期)、5年地理講座(Ⅰ期)
■お父様から受験生をお持ちの皆様へのメッセージ。
桜蔭中学に合格するまでには、紆余曲折がありました。小学4年生の時に、四谷大塚の全国統一テストを受ける際、自宅から近い会場がなかざわ塾だったのです。
その時は、なかざわ塾が進学塾であることするしりませんでした。塾に通塾するのは本人の強い希望でした。わが子には塾に通うことで日常のリズムを作っているようなところがありました。小学校に通うよりも塾での勉強の方が面白く楽しかったようです。塾長先生の言葉をそのまま引用しますと、塾での勉強の目的は学習スキルを身につけることです。学習スキルは一度習熟すると、長い人生では一生の財産として身につき役に立つことだと思います。方法論になりますが基本的なスキルを応用していくことで、いろいろな場面に他用ができるようになると考えております。これは科目に限らず学習全般に言えることです。桜蔭中学は全教科にわたり、出題の水準が高く合格する為には偏りがない方が有利です。彼女の場合は夏までの間に算数を集中的に学習し、解法をマスターしていました。ここでの学習では算数のスキルを繰り返し、しみ込むように学んでいった感じがします。
秋以降になると、国語と社会で得点できるようになっていきました。読解のスキルが次第に身についていったのでしょう。どのような問題が出題されようが、怯まずに挑めたのは身に付けたスキルによるものだと思います。答えを出すためのプロセスはどのような科目でも共通でありいろいろな問題をこなすうちにスキルの活用法が身についていくものだと思います。今後、中学に入学して理数系、文科系と分かれていくものですがしばらくの間は意識せず、今まで身に付けたスキルを用いて学習をすすめていってほしいものです。
娘は夏までの公開模試では桜蔭中学の合格偏差値には届いていておりませんでしたが9月末の文化祭を見学にいったあたりから、自覚が出始め絶対合格するんだという気持ちになったようです。やはり受験勉強にはモチベーションは大事だと思います。私自身は結果よりもプロセスを大事に考えていたので、本人の毎日の勉強に対する姿勢を評価していました。
塾長先生にもアドバイスを頂き、本人がやる気になって取り組んだ結果、今日があると思っています。やる気を維持し、最後まであきらめない事が大事です。
今後の皆様のお子様の受験の参考になれば幸いです。
■ 合格した先輩から受験生の皆さんへのメッセージ
桜蔭に合格するためには、4教科のバランスがとれていないといけないため、「あっちを特訓したらこっちが下がって、こっちを特訓したらあっちが下がって」ということをなくすのが大変でした。たとえ公開模試などで合格可能性がとても低くても、苦手意識がある教科でも、受験直前まではあきらめずに勉強を続ければ必ず伸びるので、あきらめないでください。不安なことは先生に相談して、特訓すれば良いのです。